何故、独立したいのか?
独立する理由。
それは時に具体的で、時に感覚的なもの。
立派なお題目もあれば、非常に情けないちっぽけなものもある。
でも、きちんと認識しておくべきかもしれない。
- まず、自分への問いかけ。
- 組織の歯車として働くのが嫌なのか?
- イコール、自分の城を持ちたい?
- 人に指図されるのが嫌?
- やりたくない(興味がない)仕事はやりたくない?
- イコール、「やりたいこと」がやりたい?
- サラリーマンの身分では望めないくらいの収入が得たいのか?
- 「社長」という肩書きに憧れるのか?
- 自分のペースで仕事がしたい?
んー。
どれも正解ではあるだろう。
でも、どれもピタリと腑に落ちない・・・
これまでの社会人経験において、ぼくはわりに色々な体験をさせてもらってきたと思う。
新卒で広告代理店の営業を経験し、
24歳時、人の金でショットバーを立ち上げ、そして潰し、
最新のWebサービス立ち上げに関わり、
20代で4つの新規事業立ち上げに携わり、
事業責任者として20名ほどのチームを率いた。
たくさんの喜怒哀楽が、そこにはあった。
決して平坦な道ではなかった。
で、3回目の転職。
そもそも、やりがいのある仕事と積み上げた実績、安定した将来を放棄して、何故転職したのだろうか?
その答えは分かっている、つもり。
独立したいから。
でもまだ自分には経験が足りないと思ったから。
何の?事業立ち上げ→運営→黒字化まで経験したじゃないか。
でも・・・やはり大資本の下で事業を成功させても、それはどうしても根本的な自信に繋がらなかった。
後ろ盾・拠り所がなくなった時、果たして自分は成功に向かって頑張れるのか?
「タフさ」が欲しかった。
それが今回の転職の理由。
「独立したい理由」に話を戻そう。
正直、ぼくは歯車がイヤなわけでも、社長という肩書きに憧れているわけでも、多額の収入がほしいわけでもない、ような気がする。
いや、もっと正確に言うと、それらはすべて副次的な要素でしかなくて、もっと根源的な理由があるはず。
前職で事業責任者として実績を積みながら、どうも胸をはれない自分がいた。
事業の成果に対して自信がなかったわけではない。
むしろ、自分のアイデア・手法が市場に通用することに、誇りにも似た満足感を感じていた。
手がけていた事業は、WebプラットフォームにおけるBtoCビジネス。
業種については様々な解釈があるとは思うが、ぼく自身は「小売業」と認識していた。
ここまではOK。
何の不満もない。
問題は、扱っている商材にあった。
顧客に売っていたのは「音楽」。
エンターテインメント系の会社において、自然な流れで生まれてきた事業とも言えた。
しかし、それが問題。
実はぼくは、音楽が好きではない。
昔は普通のライトユーザー、といったところで、月に数枚のCDを買うような生活をしていたのだが、業界に入った途端、まったく音楽を聞かなくなった。もともと読書が趣味で、静寂が好きだったこともあり、音楽のない生活に抵抗はなかった。
勿論好きであろうがなかろうが、事業においては、売上をあげるために多様な施策を打ち、実際に売上は順調に推移した。
そもそも音楽業界は「音楽が好き」な人達が感情と感覚を頼りに動き回る世界である。
好きでないからこそ、業界にはびこる「好きこそ物の上手なれ」的評価を覆すべく、むきになって商品を売りまくった。
理論武装して、業界人の「ノリ」に立ち向かう日々だった。
でも、いつからか「やはり自分の好きな物を扱ってみたい」という欲望が芽生え、その想いに反比例するように、音楽ビジネスに対する興味が失せていった。
マーケティングでニーズを掴み、市場調査でシーズを見付け、競合調査で独自性を図り、商売の中身を決めていく。
そんなサイクルが、急に魅力のないものに思えてきてしまったのだ。
勿論、事業を適正に運営していくためには、手法は大切だろう。
しかし、それ以前に「心」を入れなければ商売はできない。
「心」の入っていない商品を、顧客は買ってくれない。
ぼくは、「自分が好きなものを扱う」ために、独立を決意したのだ。
好きだから自分でも使う。
→幸せになる
→幸せを共有したくて、他人にも届ける
→他人も幸せになる
そんなサイクルでビジネスができたらいいなあ、という素朴な想いが、今のぼくを動かしている。(まだたいして動いてないけど)