2006.11/頭 1冊
- 作者: 京極夏彦
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/09/27
- メディア: 新書
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★★★☆☆→だんだん普通の小説になっていってる気が・・・
何を隠そう、ぼくは「姑獲鳥の夏」でデビューして以来の京極フリークである。異様に分厚いページ数、個性的すぎるキャラクター、講釈と薀蓄のクドクドと長ったらしい羅列、いわゆる「推理小説」の枠を大きく飛び越えたある種哲学的とも言えるストーリー、そして何より、人間の業を妖怪になぞらえ、「憑き物落とし」という方法で事件を解決するという斬新な設定。
すべてが新鮮で、刺激的で、初期の作品などは読んでいて身震いするほどだった。
しかし、「絡新婦の理 (講談社ノベルス)」辺りを境にして、最近の京極作品は少し独自性が失われつつあるような気がしてならない。
本作も、基本的に十分面白いし、今までとは違う新しい世界を拓いていることは認めるのだが、どうにもパッとしない。
もしかしたら、ぼく自身多少のことでは感動できなくなってしまっているのだろうか。だとしたら、「京極病」とでもいうべき症状に罹っているわけで、それはそれで作者のせいである。読者は贅沢で良い。作者は、過去の作品が偉大すぎることを言い訳にせず、常に読者に新しい感動を与え続けていくべきなのだ。
率直に言って、「魍魎の匣」を読んだ時のような幸福の極みとでもいうべき読書体験を、ぼくは求めている。
ちなみに本作がつまらないわけでは決してありません。キャラもの小説として読んだら、これまでとは違う魅力が発見できて、ファンにはたまらない内容になってます。ラストの表現も秀逸。(ラストだけでいうとこれまでで3本の指に入る出来かも)
ただ・・・ね。贅沢なんですよ、我ながら。「普通に面白い」のはいらないんです、京極作品には。
極上の大トロステーキだと思って食べたら、ただのマグロの炙り焼きだった、みたいな。いや、美味しいんだけどもね、みたいな。分かり難いか。
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++ from a.s
++ get slow life,
++ and smile.
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